2015-11-23

ARM Cortex-Aシリーズまとめ(3) 64bit編

これまでのあらすじ
32bitと違って64bitの方は前回2012年10月発表のCortex-A57とCortex-A53しかないのでそこから発表されたものをまとめたいと思います。



Cortex-A72(2015/02/03発表)
http://www.arm.com/ja/products/processors/cortex-a/cortex-a72-processor.php

  • 命令セットはARMv8-A
  • 持続性能はCortex-A15比で3.5倍、Cortex-A57比で1.84倍(但しプロセスルールの微細化を含む)
  • 消費電力はCortex-A15比で75%減(但しプロセスルールの微細化を含む)
  • AArch32/AArch64
  • ハードウェア仮想化/TrustZone/NEON(SIMD)/VFPv4(FPU)
  • 6.3〜7.35DMIPS
  • 0.5~4MB L2キャッシュ
  • 3イシューのスーパースカラー
  • 15段パイプライン/アウトオブオーダー実行
Cortex-A72の採用プロダクト

  • MediaTek Helio X20(Cortex-A72/Cortex-A53)
  • Qualcomm Snapdragon 650(旧称Snapdragon 618) MSM8956(Cortex-A72/Cortex-A53)*1
  • Qualcomm Snapdragon 652(旧称Snapdragon 620) MSM8976(Cortex-A72/Cortex-A53)*1
  • HiSilicon Kirin 950(Cortex-A72/Cortex-A53)


Cortex-A35(2015/11/10発表)
http://www.arm.com/ja/products/processors/cortex-a/cortex-a35-processor.php
  • 命令セットはARMv8-A
  • Cortex-A7比で消費電力10%減、Cortex-A53比で消費電力32%減
  • コンフィギュレーションを絞ることで一層のダイサイズ/消費電力の縮小が可能
  • AArch32/AArch64
  • ハードウェア仮想化/TrustZone/NEON(SIMD)/VFPv4(FPU)
  • 2イシュー
  • 8段インオーダーパイプライン
  • リテンションにより、段階的に未使用回路の消費電力減が可能
  • Cortex-A72、Cortex-A57とbig.LITTLE構成を取れる
Cortex-A35の採用プロダクト
TBD


*1 Snapdragon 618/Snapdragon 620はそれぞれSnapdragon 650/Snapdragon 652に変更されました(2015/12/17発表) https://www.qualcomm.com/news/snapdragon/2015/12/16/snapdragon-600-tier-processors-repositioned-reflect-advanced-performance

2015-11-21

ARM Cortex-Aシリーズまとめ(2) 32bit編

これまでのあらすじ

かなり一念発起して書いた前回[1]のまとめですが、当時最新でも今となってはなかなか懐かしさあり、でもまだ市井のスマホ・タブレットは大部分カバーできています(Qualcommの自社デザインのもの以外は)。まぁでも2013年の1月に書いたものなので使い出はまだあるかなぁと思っていますが、今回の自分用まとめを書くにあたって前提を以下とします。

  • 32bitと64bitは分ける(ARMがbig.LITTLE構成で32bitと64bit混在させてないので。64bitは別エントリにする)
  • 出発点はCortex-A15/Cortex-A9/Cortex-A7/Cortex-A5のみとする
  • Cortex-A15→ハイエンド(32bitにおいて。以下同様)
  • Cortex-A9→パフォーマンス(ミッドハイ)
  • Cortex-A7→省電力(ミドルレンジ)
  • Cortex-A5→省電力かつダイ面積最小(ローエンド)

以上の前提のもと、今回記載するグラフは以下の通りとなりました。


Cortex-A12(2013/06/03発表)
(ARM社のURLなし→Cortex-A17に統合されたため?)
  • 1TBアドレススペースをアドレス可能 LPAE(Large Physical Address Extention)
  • ハードウェア仮想化・TrustZone
  • 同クロックCortex-A9比で40%高速
  • 2イシューのスーパースカラー
  • 11段パイプライン/アウトオブオーダー実行
  • VFPv4 FPU/NEON SIMDがオプションから統合へ変更
  • Cortex-A7とbig.LITTLE構成を取れる
  • Cortex-A9時代では想定していなかった細かいプロセスルールでの製造
  • 3.00DMIPS
  • Thumb-2
  • L2キャッシュ(0-8MB)は同一クラスタのCPU間で共有
割と短期間で発表されたCortex-A17が吸収したようです。

Cortex-A12の採用プロダクト
TBD

Cortex-A17(2014/02/11発表)
http://www.arm.com/ja/products/processors/cortex-a/cortex-a17-processor.php

  • 同クロックCortex-A9比で60%高速(NEON/VFPv4は50%高速)
  • Cortex-A7とbig.LITTLE構成
  • LPAE(Large Physical Address Extention)・TrustZone・LPAE
  • NEON,VFPv4
  • 10-12ステージパイプライン/アウトオブオーダー実行
  • 4.00DMIPS
  • Thumb-2
  • L2キャッシュ(256KB-8MB)

Cortex-A17の採用プロダクト
MediaTek MT6595 (Cortex-A17/Cortex-A7)

まとめ
Cortex-Aシリーズの32bitのラインは大きく3つに収斂されました。

  • Cortex-A9をベースにリファインをしたCortex-A17が性能でおよそCortex-A15と並んだため、今後32bitのハイエンドはCortex-A17
  • Cortex-A7がミドルレンジ
  • Cortex-A5がローエンド

[1] http://utimukat55.blogspot.jp/2013/01/arm-cortexa57a53.html